2年前に書いた記事がネット系音楽メディアにパクられて考えたこと

今回の経緯

タイトルの通りである。

2年前にこのブログで書いた記事の内容が日本最大級の音楽フェス情報サイト*1Festival Life [フェスティバルライフ](http://www.festival-life.com/)掲載記事「THE YELLOW MONKEYが復活したら、あのフェスに出演してほしい」で一部パクられた。

問題の記事はすでに削除されているので、元となったブログ記事と問題記事の比較画像を一応載せておく。

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yinnocent5680.hatenablog.com

問題の記事が掲載されたのは11月28日(土)で、自分がこの記事に気づいたのはその日の夕方、TwitterのTL上でだった。

何の気なしに記事を読んでいく中で違和感を覚え、「もしや…」と自分の過去記事をさらって今回のパクリに気がつく。

ただ、自分の判断だけではパクリだと断定する自信がなかったため、Twitterに比較のスクリーンショットを載せたり、知人にLINEでどう思うか聞いてみたところ「表現と論理構成が似ている時点でクロ」という意見が多かったのでFestival Lifeに以下のメールを送信する。

本日(28日)掲載されました「THE YELLOW MONKEYが復活したら、あのフェスに出演してほしい」内において私が運営しているブログ記事(http://yinnocent5680.hatenablog.com/entry/2013/09/29/174533)に酷似していると思われる表現・論理構成がございました。
 本記事の執筆に当たって事前に連絡等はいただいておりませんでしたので、執筆者様が恣意的に弊ブログの内容を盗用したのではないかと考えられます。
 これらについて

 ・運営サイトとしてはどのような見解をお持ちであるか
 ・該当記事の削除は可能であるか
以上の2点ご回答頂けますでしょうか。

そして牽制の意味も含めて今回の顛末をTwitterに連投する。

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28日深夜、メディアから以下のメールが返信される。

○○様

Festival Lifeを運営しております××と申します。

連絡が遅くなりまして申し訳ございません。

この度、ご指摘いただいた件を、スタッフ、執筆者にも確認をしたところ、ご指摘の箇所について、いくつかのまとめサイトでの掲載情報を参照して、記事を構成しておりました。

いくつかのサイトや記事を参照した際に、○○様のブログも拝見させていただいた可能性があり、結果的に構成等が類似してしまった点につきましてお詫び申し上げます。


こちらの記事は、編集部判断で落とさせて頂きます。


引き続き関係各位にもさらに事実関係を確認していきます。
また、今後スタッフ、執筆者ともにこのようなことがないよう、徹底して運営していきたいと思います。

この度は大変申し訳ありませんでした。

Festival Life ××

問題記事の削除を確認し、今回の事件に関する自分のツイートも削除する。

といった流れだった。

今回の件は問題記事が削除された時点で水に流そうと思ってはいたのだが、どうしても腑に落ちない点や考えをまとめておきたい点があった。なので以下に考えをまとめようと思う。

ブログを書く上でのモットー

自分がブログをやる上で絶対的なモットーとしているのは以下の2点だ

・”自分語り”をしない

・ブログ自体から金銭を得ること(アフィリエイトetc)はしない

それぞれ理由を説明しよう

”自分語り”をしない

作品評において優先されるべきは筆者による”主観的”感情の表現よりも作品自体についての”客観的”分析だと自分は考える。なぜ””付きの表現にしたかというと、筆者が客観的であろうと事実を元に組み立てるロジックこそが読み物としての作品評の面白さ、ひいては真に”主観的”な表現につながると考えるからだ。

この考えを象徴する作品としては以下の2作を引きたい。

『The Cut-feat.RHYMESTERBase Ball Bear

LEGOムービー』クリストファー・ミラー&フィル・ロード監督

一つ一つのロジックの積み重ねの中で作り上げていった"客観的”分析は表現の基礎且つ筆者独自の物の見方だ。単なる主観の羅列による”自分語り”は人に見せるようなものではない。

特に今回パクられた『パンドラ』の記事は「如何に作品上の事象や発言を客観的に切り取ることで普遍的な作品評として成立させるか」に重点を置いた記事だ。

しかし、問題の記事は「私が愛してやまないあるバンド」「THE YELLOW MONKEYへの愛を語りだしてしまったら、驚くくらいいくらでもいけてしまうので〜」といったフレーズに代表される「私がどれだけTHE YELLOW MONKEYを愛しているか知ってほしい」という自分語りの押し付けが強いものだった。

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はっきり言って最も苦手な文体である。記事を読んでいても筆者の恍惚とした自己満足の顔しか思い浮かばない。そんな文体に自分の表現が利用されてしまった。

「単なる映画内での発言を書き起こしただけなんだから別にいいじゃないか。」という人もいるかもしれない。それは大間違いだ。一つの作品評を書く上で発言の取捨選択、構成を行うことは表現の一環だ。例え参考文献が一緒であってもそれを論旨とどのように結びつけるかが評論における独自性なのだ。

もちろん僕もTHE YELLOW MONKEYが好きだ。好きだからこそ吉井和哉自伝を発売日に買ったり『パンドラ』を劇場限定公開日に観たり過去のインタビューを読み漁ってきたりした積み重ねがあの記事だ。それを文末を弄るぐらいで自分のTHE YELLOW MONKEY愛()の表現に使うってダサすぎないか?

裏返せば問題の記事も”他人の表現”を切り取って組み合わせることでTHE YELLOW MONKEYへの愛を表した立派な表現なのかもしれないが。

ブログ自体から金銭を得ること(アフィリエイトetc)はしない

なぜ金銭を得たくないかといえば、

「無駄に広告を入れてレイアウトを崩したくない」

「アクセス数目当てに記事を書きたくない」

などいろいろあるが単純に言えば「良い記事を書くことに集中したい」の1点だ。あくまで趣味としてやっているブログであり、そこにはなるべく不純なものは入らないようにしたいと思っている。

しかし、問題記事を掲載したFestival LifeではHP内に広告掲載の案内(お問い合わせ | Festival Life)が出ていることから営利目的で運営されていることは明らかだ。個人ブログから表現を盗用した記事が商品だなんて呆れるしかない。テスト前に他人から借りたノートを勝手に売りさばくようなものだ。

というか返信メールでの「いくつかのまとめサイトでの掲載情報を参照して、記事を構成しておりました。」ってなんなんだ。他にもパクっている可能性があるということなのか。

 「それって、for 誰?」

”好き”という言葉を使わずに自分の好きなものを紹介することは大変だし疲れる。それでも押し付けがましくない範囲で好きな映画や音楽をブログに書くことで知らない誰かに読んでもらえるのは楽しい。

ブログをやってきた中で一番嬉しかったのは、以前このブログの『幕が上がる』に関する記事が誰かによって2chに載せられた時、スレッド内で文章力の低さや分析の甘さについて色々言われる中で、「この人のブログで紹介してる『LEGOムービー』って面白そうだな。」とレスがついた時だった。自分の書いた文章が会ったこともない人に影響を与えられているのかもしれないと思うだけでモチベーションになるし、それ以上の喜びはない。

yinnocent5680.hatenablog.com

このタイミングで自分が何でブログをやっているのかを考え直せて良かったと思う。

”自分語り”はこれで最後だ。

明日からも観たいものを観て、聴きたいものを聴いて、書きたいことを書く。それだけで充分だ。

俺の歌は俺の歌

君のものじゃないぜ

『BLACK COCK'S HORSE』吉井和哉

 

ブログのどっかに自分が音小屋OBってこと書いておいたらパクられなかったのかな〜なんつって

 

 

 

 

*1:サイト内の表現を引用

希望とは明日の空『悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46』

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7月10日(金)公開『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』本予告 ...

 48G DOCUMENTARYシリーズ第6作目となった本作。センター経験メンバー5人のインタビューを中心に2011年のグループ結成から最新作『太陽ノック』センター発表までをほぼ時系列順に描いた内容。

 本作のテーマは「人は変わることができるか?」。登場するメンバーは出身、家庭環境がそれぞれ違う中で「違う自分になりたかった」と代わる代わる口にする。中学で女子グループに馴染めなかったり、親の期待を背負いすぎるがゆえに自分を出すことができなかったりとその背景もそれぞれ違うものだ。そんな背景を本作では母親目線でのナレーションと共に紹介していく。それぞれ違う事情を抱えた彼女たちが「乃木坂46」として1つのグループに集結する序盤は純粋なオーディションドキュメンタリーとして丁寧に作られている。オーディションが終了した後も、いざ自分が”アイドル”として舞台に立つことが想像できず、もがきながら共同生活とレッスンの日々を過ごす彼女たちだが、グループの初ステージとして『AKB48リクエストアワーセットリストベスト100』に出演することになる。舞台裏で緊張の面持ちでスタンバイする姿が手持ちカメラのドキュメンタリースタイルで撮影されているのに対し、いざ本番『ぐるぐるカーテン』のイントロが始まった瞬間にステージ用クレーンカメラの映像に切り替わる。正しく一人の女性がステージ上のアイドルに変わる瞬間の輝きは『ぐるぐるカーテン』のポップさと相まって心を強く揺さぶられた。

 ”一般人”から”アイドル”への変化についてのイメージは本編中で何度も繰り返される。特に『透明な色』のキャンペーンで貼られたポスターと記念撮影している女子高生に桜井が声をかけるシーンや、デビュー以前に恋人と撮ったプリクラが流出した若月の「過去の自分を変えたくて乃木坂に入ったのに過去の自分に足を引っ張られるなんて…」というセリフが印象的だ。

 しかし、デビュー以降の描写がやや駆け足となってしまい今ひとつ作品テーマの一貫性が保てなかったのが本作の問題点だ。2014年の神宮での『君の名は希望』もパフォーマンス・演出共に素晴らしいが、作品全体の流れからだとあまりに唐突だし、わざわざ歌詞テロップまで出すのは説明過多だろう。*1松村のスキャンダルも、実際の誌面や握手会ブース内での光景をハッキリ見せる攻めた作りにはなっているが、幕引きがあまりに曖昧でモヤモヤしたものが残るため正直辛い。*2

 それでもクライマックス、西武ドームでの3周年ライブで主要5人が”トップアイドル”として見せる全力のパフォーマンスは映画館のスクリーンで見るべき美しさ!また、あまりにぶつ切りな終わり方も本作では描かれなかった2期生やアンダーへの目配りと考えれば次作への伏線として納得できる。青春群像劇としても十分面白い内容なのでお時間ある方は是非。

www.youtube.com

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*1:しかも”希望”の部分だけフォントサイズが違うってどうなのよ?デビューライブの『ぐるぐるカーテン』では歌詞テロップ出さなかったのに!

*2:ここでの橋本の発言の信頼感!ラストの”ある決意”含めて、本作で一番株を上げたと言っていい。

もうすぐ夏が来る。Base Ball Bear『日比谷ノンフィクションⅣ』@日比谷野外音楽堂

 「二十九歳になった今、自分にとっての『普通』とはなにか?」というテーマを徹底的に突き詰めたBase Ball Bear 5th AL 『二十九歳』から一年。2本の全国ツアー『二十九歳』『二十九歳+一』、企画ライブ『LIVE IN LIVE』を経て、バンドとして2年ぶり4度目となる日比谷野外音楽堂での『日比谷ノンフィクションⅣ』を観た。

 アルバムのコンセプトを忠実に再現するセットリストだった『二十九歳』『二十九歳+一』を両方観た自分にとって、今回のライブは"『二十九歳』以降のBase Ball Bear"を観られる絶好の機会だと思い、期待度マックスで会場に足を運んだ。

 開演前の客席ではアルバムツアーと同じく、メンバーが思春期に多大な影響を受けたであろうゼロ年代ロキノンの名曲プレイリストが流されており、*1くるりの『ワンダーフォーゲル』が流れ終わって、定刻を迎えるとお馴染みXTCのSEでメンバーが登場。野音の期待が最高潮に達する中、バンドが奏でた意外すぎるギターリフに客席全体が騒然となる。

小出「こんばんはBase Ball Bearです!日比谷ノンフィクションへお越しくださいましてありがとうございます!早速ですがゲスト!RHYMESTER!」


RHYMESTER x Base Ball Bear / The Cut - YouTube

 舞台裏から慌ただしくDJブースが運び込まれる中、ステージ下手からRHYMESTERが登場し、宇多丸の「日比谷ノンフィクション!この面子が集まればノークエスチョン!」のシャウトで『The Cut-feat. RHYMESTER』スタート!鋭いギターカッティングとトラックのグルーブで3000人の観客を一発で縦ノリにさせる完璧なコラボレーションを見せつけ、曲のラストには『日比谷ノンフィクションⅣ』のバックドロップが落とされたことで、客席のテンションは1曲目から最高潮に。そこから息つく間もなくノンストップで『CRAZY FOR YOUの季節』になだれ込み、野音の熱を更に高めていく。

 軽いMCを挟んでからは新旧織り交ぜた楽曲が続く。リフ先行のアレンジが夕方の野外に似合う『Transfer Girl』や、ツアーを経て演奏がよりタイトになった『yellow』『そんなに好きじゃなかった』そして『愛はおしゃれじゃない』セルフカバーの切なさ!


岡村靖幸 w 小出祐介「愛はおしゃれじゃない」 - YouTube

 打ち込み、シンセてんこ盛りの原曲に対してリフ一本で押しとおすギターロックスタイルにアレンジされたことや、岡村ちゃんの強烈な個性がないことでより憂いを帯びたこいちゃんのボーカルが更に際立ったことで、曲全体から醸し出される切なさや「モテなさ」がガンガン感じられて本当に素晴らしかった。

 次のMCでは「自分にとって野音とは?」という話題になり、こいちゃんは「日本のロック史において野音はフジファやナンバガの印象が強いかもしれないけど、僕にとって野音は"さんぴんCAMP"なんです。」と語り出す。

 中学生のころVHSで観た"さんぴんCAMP"の思い出をしみじみと語り、RHYMESTERへの思い入れ、そしてこの日の共演の意義を、文脈を知らないベボベファンにも伝わるよう訴えかけるこいちゃんの姿が印象的だった。


Rhymester - 耳ヲ貸スベキ (さんぴんCAMP) - YouTube

 RHYMESTER主催フェス『人間交差点』への出演オファーは受けていたものの、スケジュールの都合上涙を飲んだというエピソードも披露し、「というわけで『人間交差点』のテーマと通じる曲を演ります。」の言葉から『スクランブル』へ

 アルバムツアーではシリアスな楽曲が続くパートの導入としてセットリストに組み込まれていたが、この日のライブでも久しぶりの演奏となった『ホワイトワイライト』『ラブ&ポップ』の切なさを際立たせる良い位置だった。

 日も沈み、照明演出が映えるようになった頃、「この曲も同期モノを使えばそつなく演奏できるのかもしれないけど、それでも僕らは生音でやりたい。」というこいちゃんの言葉から『Tabibito In The Dark』が披露され、エレキギターから生み出されるダンスミュージックに再び野音は興奮の渦に。

 『changes』『ELECTRIC SUMMER』といった鉄板曲の連打で畳み掛けたクライマックス、『UNDER THE STAR LIGHT』アウトロのノイズの果てに奏でられたのは『魔王』のギターリフ。アルバムツアーでは『光蘚』とセットで一種の組曲として披露されてきたがこの日のライブでは『魔王』単体での披露となった。何度聴いてもその度に鳥肌が立つアウトロの湯浅ギターの音色が日比谷の夜空に響き渡り、これでおしまいかと思ったらそのまま『PERFECT BLUE』に突入!ラストの歌詞「もうすぐ夏が来る」が何倍にも胸に染み渡りながら本編終了。

 アンコールでは「時代がストリーミングなら、こっちはエクストリームシングル出します!」と新作の発表もあり、ラストは『BREEEEZE GIRL』の大合唱で幕を閉じた。 

 アルバムツアーが『二十九歳』のテーマをライブで再現する内容だったのに対して、今回の『日比谷ノンフィクションⅣ』は『魔王』の置き方然り『二十九歳』というアルバム自体を相対化しようとする内容だったと思う。ベボベにとってもファンにとっても『二十九歳』を"普通”として捉えられるようになったということか。

 『二十九歳』を通り過ぎた『三十一歳』のベボベが何を思い、何を歌うのか今後も追い続けたい。

www.youtube.com

Base Ball Bear『日比谷ノンフィクションⅣ』@日比谷野外音楽堂

1. The Cut-feat. RHYMESTER

2. CRAZY FOR YOU の季節

(MC)

3. Transfer Girl

4. yellow

5. そんなに好きじゃなかった

6. 愛はおしゃれじゃない

(MC)

7.スクランブル

8. ホワイトワイライト

9. ラブ&ポップ

(MC)

10. Tabibito In The Dark

11. 十字架 You and I

12. changes

13. ELECTRIC SUMMER

14. UNDER THE STAR LIGHT

15. 魔王

16. PERFECT BLUE

(en)

17. 「それって、for 誰?」part1

18. BREEEEZE GIRL

 

狂っちゃいないぜ 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

「madmax fury road」の画像検索結果


Mad Max: Fury Road - Official Main Trailer [HD ... 

 シリーズ30年振りの新作となった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』をTOHOシネマズ新宿のIMAX 3D字幕版で2回観賞してきた。感想を一言で述べるなら「ここまで血沸き、肉踊り、そして涙溢れる美しい映画があっただろうか。」と言いたい。そして決して「ヤバイ!」「狂ってる!」といった言葉では片付けられない強い感動と興奮を覚えたことを何度でも強調したい。

 ストーリーの基本構造は上映時間2時間「ひたすら追いかけられる」だけの話だ。*1マッドマックス2』クライマックスのカーチェイスがテンポを変えながら2時間続くようなものをイメージしてもらえたら大丈夫。

 だが、そんなシンプルな基本設定の上にストーリーに含まれた幾つものテーマ、そしてフレッシュなアクションてんこ盛りの映像が2時間ノンストップのとんでもない密度で繰り出されるのだ!

 アバンタイトルから油断できない。ワーナーのロゴが出た瞬間から大音量の排気音が響き渡り『マッドマックス2』のオープニングを思わせるマックスのモノローグから幕を開ける。次の瞬間、いきなりウォーボーイズVSマックスのカーチェイスが始まり、気づいたら反撃する間も無くインターセプターがクラッシュされマックスが囚われの身となってしまう。謎の部屋で髪の毛を剃られ、背中に”血液袋”としての情報が刻まれるマックス。首に焼印を押されてしまう一瞬の隙をついて部屋から逃げ出すが、手錠&猿轡という状況に加え、過去に暴走族によって命を奪われた妻子や助けられなかった人々の幻覚がフラッシュバックして苦しめられる。何十人ものウォーボーイズが追いかける中、ようやく出口にたどり着いたかと思うとその先は崖!空中にぶら下がるフックにしがみつき脱出しようとするが結局捕まってしまい砦の中に引きずり戻される。そこにタイトルがドーン!と出てくる流れだ。

 この一連のシークエンスで特筆すべきは「極度の高速カット割りの中での情報の出し方」だ。本作全体に言えることだがアクションシーンでのカット割りがとにかく細かい。*2このシークエンスでも逃げるマックス→追うウォーボーイズが数秒ごとに切り替わる間にマックスが見る幻覚がサブリミナル単位で挟み込まれるため映像内における情報量がとてつもなく多い。一歩間違えれば観客を置いてけぼりにした無秩序なドタバタアクションになってしまいそうだが、一つ一つの映像で見せるべき要素をフレームのど真ん中にしっかり置いているため、不思議と混乱しないのだ。*3そのため、話が掴めなくなることはないまま、高速カットの不思議な高揚感を味わえるというわけだ。


Mad Max Center Framed from Vashi Nedomansky ...

 上の動画で例として出されている中盤のマックス&ニュークスVSフュリオサの格闘シーンも高速カット割りが冴え渡っている。激しくカットが切り替わりながらも観客が注目すべき点がやはり中央に集められているため、アクションを目で追う必要がなく映像のインパクトを存分に楽しめる。特にIMAXのような大画面向きの演出だろう。本作の編集を担当したのはジョージ・ミラーの妻であるマーガレット・シックセル。アクション映画の編集は未経験の彼女を抜擢した理由として監督は「男が編集したら他のアクション映画と同じになってしまうからだ。」と述べている。

 編集に限らず、映像の情報量を高めている要素としてプロダクションデザインのクオリティが挙げられる。第一に色彩の豊かさだ。世紀末ディストピアを扱った作品はどうしても暗いグレー中心のカラーリングが多いのに対して、本作は予告でも出てくるカラフルな発煙弾など赤味の強いカラーリングが特徴的であり、ウォーボーイズの白ボディ、口に吹き付ける銀スプレー、そして話題の火炎ギターのインパクトも素晴らしい。そして、第二に、登場するガジェットや車の格好良さよ!監督の「どんな酷い環境であっても、そこに生きる人々は自らの手でできる限りの美しいものを作り出すはずだ。」との言葉通り、巨大スピーカーを搭載したドゥーフ・ワゴンやマッスルカー仕様のメルセデス・リムジンなど一度見たら忘れられない改造車のオンパレードである!しかも只のネタとして作っているのではなく一つ一つの改造車にちゃんとバックグラウンドがあるとのこと。

「まず、ドゥーフ・ウォリアーが存在するのにはロジカルな理由があります。言葉が発達する前、戦争や紛争では音楽がコミュニケーションの手段でしたよね。打楽器があったり、スコットランドではバグパイプがあったりしました。本作では車の騒音がとてつもなくうるさいので、あれだけのスピーカーで爆音を出さないと聞こえないわけですね(笑)。同時に、本作に登場するモノは一つ以上の目的があって作られているので、ギターは「フレイムスロワー」、つまり火炎を放射する武器としても使えるようになっています。」www.kotaku.jp

 そして本作において一番強調しておきたいのは「作品内で提示されるテーマ」の豊かさだ。「硬直化した家父長制の下に虐げられてきた女性たちの反逆」「過去への強い後悔にとりつかれた男への新たな仲間との団結による救済」などが主な作品テーマとして読み取れるが、その他にも「銃弾は死の種よ。植えられたら死ぬの。」というセリフのあとにその名も”種を守りし者(Keeper of the Seeds)”という植物の種を次の世代のために託そうとする老婆が登場したり、ラストシーンでマックスたちを迎える”ある人物”たちの姿などから監督ジョージ・ミラーの次世代への希望に満ちたメッセージを感じ取った時は胸が熱くなった。そして、熱血馬鹿なウォーボーイのニュークスが本当に素晴らしい!イモータン・ジョーを絶対神として崇めながら少しでも彼に認められたいと愚直なまでに突き進むも結局は彼に見捨てられてしまうニュークス。*4「英雄への扉が3回も開いていたのに全部ダメにしちまった…」と嘆いたニュークスが最後に見せる活躍は涙無しには見られない!

 長々と書いてきたが、2015年6月何を観るべきかといったら『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で間違いなし!早くしないと『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』にIMAXスクリーン奪われちゃうよ!!!

”If I'm gonna die, I'm gonna die historic on the fury road!!”

*1:ストーリーの内容が単純だと言っているわけではない

*2:一説によると本作全体で3500カットを超えているらしい。

*3:砦内を逃げ回る途中で、ウォーボーイズによって改造されているインターセプターのカットが挟み込まれたりなど

*4:砦の出撃シーンで一人だけ何が起こってるかわからない感じとか最高!

「おいでよ、わらって、プチャヘンザ!」lyrical school tour 2015 "date spot"@OKINAWA Cyber-Box

 5月31日、lyrical school初の全国ツアー初日となった沖縄公演@OKINAWA Cyber-Boxを観てきました。今後、全国6カ所(沖縄、福島、福岡、大阪、名古屋、札幌、東京)での公演が予定されてますが、時間と財布の許す限り一つでも多くの公演に足を運びたいと思えるほど充実したライブでした。

 会場も天井が高くて開放感のあるステージに、沖縄らしいゆったりとした雰囲気が流れる素晴らしいライブハウスでした。開演前のフロアではファンがそれぞれ、リリスクにとって初の全国ツアー初日への期待を膨らませたり、この初日公演に合わせて29日から行われていたメンバーとの沖縄ツアーイベントの思い出に浸ったりと思い思いに過ごしている中、ライブ定刻のタイミングでちょうどフロアBGMにtofubeats提供曲『ゆめであいたいね』が流れたときの空気はなんとも言えない良さがありました。


lyrical school 「ゆめであいたいね」LIVE at 大宮ステラタウン - YouTube

 ライブ本編はツアータイトル"date spot"の通り、lyrical schoolが今までリリースしたアルバム『date course』『SPOT』からの選曲が中心のセットリストで、序盤は『SPOT』の曲順を再現したハーコー曲3連発でフロアの温度をガッと上げたかと思ったら、MCを挟んでからはlyrical schoolの本領発揮ともいうべきパーティーチューン8連発!その後のMCでメンバーから「8曲連続いかがでしたか〜!?」と聞かされるまで曲数を意識しなかったほど自分はひたすらフロアで踊りまくってました。この中盤の流れも単にアップテンポの曲をつなぐだけではなくアルバムの曲順を活かした曲の並びになっていたり、『wow♪』では沖縄アレンジを入れてみんなで琉舞してみたり、『リボンをきゅっと』〜『PARADE』の見事な繋ぎでフロアをアッと驚かせてみたりとK.U.F.Uが尽くされたパートでひたすら楽しかったです!


lyrical school「brand new day」MV - YouTube

  パーティーブロックの次はしっとりと聞かせるメロウパート。沖縄イベントの終わりを名残惜しむ気持ちがどうしても高まってしまう『ゆめであいたいね』、今後の全国ツアーへの展望を感じさせる『CAR』、DJを務める岩渕さんのボコーダーアレンジが加わった『Sing, Sing』の3曲でフロアの空気を一気に変えられる表現力の豊かさもリリスクの大きな魅力だと思います。

 一旦クールダウンした中、MCでは自然とツアーファイナルの東京公演@Zepp DiverCityの話題に。yumiさんが「全国ツアーだからといって”地理的”な意味で(ファンの)みんなを色々な所に連れて行くのではなく、新しいリリスクを各会場でお見せすることで最終的にZepp DiverCityではみんなが今まで見たことのない景色を私たちが見せてあげたい。」と落ち着いた中にも熱い思いを吐露した流れから、彼女のソロから始まる『おいでよ』へ


lyrical school「おいでよ」 - YouTube

 ファンの心の奥をグッと掴む素晴らしいMCとパーティーの楽しさを心の底から肯定する楽曲の組み合わせは涙無くして観れませんでした。「おいでよ」という言葉の優しさや全国ツアーへのメンバーの思いを考えると、何とかしてでもメンバーにはZepp DiverCityで素晴らしい景色を見て欲しいと心から思いました。

 ラストは鉄板曲の『プチャヘンザ!』『FRESH!!!』で思いっきり盛り上がって本編終了!アンコールでは『tengal6』で気持ち良く踊ってからの『photograph』で大団円!meiちゃんのフリースタイルは「リリスクとヘッズで”おーきなわ”になって、最後は”リリスクがやっぱ持ってくぜ!”(うろおぼえ…)」と『I.D.O.L.R.A.P』のフックをサンプリングした内容で、全国ツアー初日をキッチリ締める流石のクオリティでした。最後には新曲リリースも発表となり、最高のツアー初日を迎えることができたのではないでしょうか。

 全国ツアーは始まったばかりです。もしお近くで機会がありましたら是非お立ち寄りいただければと思います。今後リリースに合わせてのインストアイベントも随時行われるかとおもいますのでそちらも合わせて。

lyrical school tour 2015 "date spot"@OKINAWA Cyber-Box

1. I.D.O.L.R.A.P

2. PRIDE

3. OMG

(MC)

4. そりゃ夏だ!

5. wow♪ remix ver.

6. レインボーディスコ

7. brand new day

8. S.T.A.G.E

9. リボンをきゅっと

10. PARADE

11. Maybe Love

(MC)

12. ゆめであいたいね

13. CAR

14. Sing, Sing

(MC)

15. おいでよ

16. プチャヘンザ!

17. FRESH!!!

(en)

18. tengal6

19. photograph

 

lyrical school tour 2015 “date spot”

■福島公演

開催日時:6月7日 (日) 開場12時30分 / 開演13時
会場:福島県いわき市「三崎公園野外音楽堂」

■福岡公演
開催日時:6月14日(日)開場17時30分/開演18時
会場:福岡INSA

■大阪公演 
開催日時:7月10日(金)開場18時30分/開演19時30分
会場:OSAKA MUSE

■名古屋公演 
開催日時:7月11日(土)開場17時/開演18時
会場:名古屋CLUB ZION

■札幌公演 6月1日(月) 
開催日時:7月19日 (日) 開場17時30分 / 開演18時

会場:札幌DUCE

■東京公演 
開催日時:7月25日(土)開場16時/開演17時
会場:Zepp DiverCity

 

 

泣いてもいいんだよ『幕が上がる』

 

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ももいろクローバーZの青春映画!『幕が上がる』予告編 - YouTube

 自分はももクロが「ももいろクローバーZ」に改名して間もない2011年夏からのももクロファンだ。

   また、本作の脚本家である喜安浩平の「桐島、部活やめるってよ」が生涯ベストである自分にとって、「主演:ももクロ✖️脚本:喜安浩平」の文字を見たときの期待度は最高潮だった。

 しかし、一言で本作の感想を言うとすれば「安易にアイドルをダシに使った本広監督の自己満足映画」としか思えなかった。

 例えば、中盤に演劇部員たちが挑戦する『肖像画』。「自分と両親」をテーマに一人芝居をするという難題を、部員役を演じるももクロ自身が挑む2重構造の設定は面白いし、メンバーの演技も拙いながら説得力のあるものだったと思う。

 しかし、その後の展開で彼女たちの劇中での両親として登場する人物が悉く安易なカメオ出演者で固められているため、物語自体の説得力もなくなり、こちら側が真面目に観るのが馬鹿らしくなってしまった。

 また、同じ喜安脚本『桐島、部活やめるってよ』の屋上での前田と宏樹のラストシーンを思わせる、海岸でのカメラを通じた杉田先輩とさおりの「なぜ演劇に取り組むのか」についてのシリアスな会話劇の直後に、職員室でモノノフである三宅アナがズカズカとこれ見よがしに歩き回る姿を観てどうしろというのか。

   これだけでなく、あーりんにケーキの被り物をさせたり、メンバーが自分の色のドリンクを飲んだりといったももクロファンへの小ネタが挟み込まれる度に、本広監督の「どうだい?僕のももクロ愛?」としたり顏で語る姿が浮かんでくるため、後半は怒りしか湧かなかった。

 そして、ラスト、夏菜子演じる演劇部長さおりが遂に「自らが作り上げた世界を共有する」、正しく”幕が上がる”瞬間に映し出される、客席に並んだカメオ出演者たちの姿に絶望し、映画館を後にした。

 映画を観ながらここまで怒りが湧いたのは人生で初めてで、ももクロが頑張れば頑張るほど下品な演出で台無しにされる悔しさで本当に辛かった。

 どうしてここまで自分が本作に怒りを感じるのかを3つのポイントで論じたいと思う。

1.演出の稚拙さ

 「演劇」をテーマにした映画である時点で「演劇」と「映画」という異なるジャンルの芸術を融合させるために高い演出力を求められるのは言うまでもない。特に「演劇」では基本観客の視点は引いた画から自らの興味の向く箇所に視点を移すことで成り立っている。そのような「演劇」の鑑賞スタイルに対して本作は移動カメラの多用で成立させようとした。例えば『肖像画』のシーンでは中心に俳優が立ち、それを取り囲むように車座で観客が座り、さらにその周りをレール付きカメラが動き回ることで撮影している。このような撮り方がどのような効果をもたらすかといえば、常に画が止まることが無く、観客に映像的な高揚感を与えることができる点が挙げられる。しかし、裏返して言えば、そこに映し出される俳優の演技を蔑ろにし、本来その場面で映し出されるべき緊張感を削いでいるとも言える。そのため、演劇部員、ひいてはももクロメンバーの実際の演技力がどれぐらいのものであり、それが高校演劇部全国大会に足る実力なのかがイメージできない。作中で何度か挟み込まれる実際の高校演劇の映像が全て固定カメラなのとは対照的である。

 同じく彼女たちの演技を蔑ろにしている演出という点ではナレーションの多用が挙げられる。そもそも原作が主人公さおりの一人称視点で語られているため、多少のナレーションは許容できる。しかし、劇中の会話シーンの中でも心の声が実際のセリフに被さるように使われたり、さおりの心の声と吉岡先生が勝手に会話を始めてしまうほど多用されてはたまったもんじゃない。特に美術室で”学生演劇の女王”であった吉岡先生が部員達に『肖像画』の演技を見せて圧倒させるシーンは「演技の素晴らしさに圧倒される部員たち」の姿をただ撮れば良いものを、わざわざ心の声で「圧倒された…」とご丁寧に説明してしまうんだから興ざめも良いところだ。

2.「吉岡先生」問題

 本作での演劇部最大のゴールは「全国大会出場」だ。彼女たちがこの目標を描いたのは吉岡先生がきっかけだった。彼女は学生時代、”学生演劇の女王”として活躍したが大学卒業後地元に帰省し、高校の美術教師になった。最初は見学という形で演劇部の指導を受け持った吉岡先生だが、『肖像画』での彼女たちの頑張りに奮起し、「一緒に全国目指してみない?君達なら行けるよ!」と演劇部員の心に火をつける。そして「全国を本気で目指すなら、人生を狂わせてしまうこともあるかもしれない。私は責任をとれないかもしれない。それでも良い?」と彼女たちに演劇への覚悟をさせる。夏の東京での合宿では、新宿の高層ビル街に部員たちを連れて「見て。この灯の数だけ夢を持って東京に出てきた人たちがいるの。それって心強いと思わない?」と彼女たちに淡い夢を見させる。そして合宿の最後、部長のさおりは吉岡先生に「先生、責任なんて取ってもらわなくていいです…わたし、人生狂っても良いです!」と力強く宣言する。

 しかし、後半のある事態で物語は急転する。文字通り、吉岡先生は責任を取らずに、部員たちの人生を狂わせた。はっきり言って自分には彼女の行動原理が理解できない。 東京で夢破れた教師と上京を夢見る生徒を描いた傑作『おとぎ話みたい』の言葉を借りれば、吉岡先生は正しく”出戻り文化人”だろう。しかも、自分の夢へのケジメもつけられないだけでなく、あまりに残酷な形で生徒を裏切った。また、彼女自身が葛藤する場面もほとんど描かれないため、ただただ憤りしか感じられなかった。

3.過剰な小ネタ・オマージュ

 確かに本作の主演はももクロだ。だからといってももクロにまつわる小ネタやオマージュを多用するのは、作品の世界観を壊すだけではなく、彼女たちの努力自体も消費するということではないか。以下、列挙。

・焚き火でさおり(夏菜子)の持っている台本が『ウィンタータイムマシンブルース』


Summer Time Machine Blues Trailer - YouTube

・明美ちゃん(あーりん)がケーキの被り物で登場


11.だって あーりんなんだもーん -2011.06.12- - YouTube

・ゆっこ(しおりん)の父親が天龍

→去年の桃神祭で天龍がゲスト出演

・職員室にフジの三宅アナがいる。

→モノノフを公言。ライブでも何度か登場

・図書館の本棚に『ゴドーを待ちながら』がある

喜安浩平の前作『桐島、部活やめるってよ(脚本)』の元ネタ

・さおりの演出ノート

夏菜子の国立川演出ノート?

・さおりの漢字間違い

夏菜子のおバカキャラ

・明美ちゃんの父親が松崎しげる、母親が辛島美登里

→二人ともライブで共演済み。特に松崎しげるはメンバーから南国ピーナッツと呼ばれている。

・さおりの『肖像画』でバスケの話

夏菜子はバスケ経験者

・がるる(れにちゃん)の祖父が笑福亭鶴瓶

→レギュラー番組で共演。去年は夏菜子が『スジナシ』に参加

・下校シーンで唐突にゆっこが「ハラヘッター!」と叫ぶ


Z伝説~終わりなき革命~/ももいろクローバーZ ドラマ無し Full ver.(Z DENSETSU ...

・さおりの夢シーンでうどん脳が登場

→本広監督の出身地、香川県のマスコットキャラ

・さおりに渡されたメロンソーダを中西(杏果)が飲む

→杏果のイメージカラーが緑

・中西が転校した理由の一つに「滑舌の悪さ」

→実際に滑舌が悪い

・溝口(ムロツヨシ)が吉岡先生に”肩の柔らかさ”アピール

→自身のラジオで自分のアピールポイントとして話していた。

・東京の小劇場でさおりと杉田先輩が話すシーンで平田オリザ人形が運ばれている。

→言わずと知れた原作者。ロケ地のこまばアゴラ劇場支配人

・吉岡先生の演劇仲間のグループに高橋栄樹監督がいる。

→『DOCUMENTARY of AKB48』シリーズ監督。去年、今年と本広監督主催のさぬき映画祭にも参加

・さおりとゆっこがホテルのシングルベッドを共有する。

→『シングルベッドはせまいのです』(ももたまい)

・ゆっこと中西がそれぞれ緑、黄色のペンキで大道具を塗っている。

→それぞれのイメージカラーを互いに使うことで仲直りの表現(?)

・吉岡先生からの手紙をさおりが受け取るときのBGMが『行くぜっ!怪盗少女!』

→『あかりんへ贈る歌』だとも考えられる

・大会前夜での教室のBGMが『あの空へ向かって』

・ゆっこのお姉さんがゆみ先生(ももクロ振付師)

・その旦那が佐々木敦規(演出家)

その前列に座っているのがたこやきレインボー

 多分もっとあるはず(楽曲ネタは10曲近く仕込んでいるらしい)だけど気づいたところまで。

 日曜日に本作を鑑賞してから「青春映画の傑作!」「アイドル映画の新次元!」と評価するネット上での声を見るたびに、その評者達にとっての「青春映画」や「アイドル映画」って一体何なんだろうと死んだ目をしながら過ごした一週間だった。

  作品に真面目に向き合おうとせずに安直な笑いに走る姿はももクロに失礼、演劇に失礼、そして映画に失礼だ。本広監督の罪は重い。

 

PS:本論とは関係ないけど、その他雑感をどこかに吐き出さないとつらくてしょうがないため以下箇条書きで失礼します。

・Before『ウィンタータイムマシンブルース」→After『銀河鉄道の夜』のどちらもしっかりと観せてくれないため、彼女たちの演劇部としての実力がはっきりしない。

→ググったら『銀河鉄道の夜』のフルverがあった!なんでこれカットしたんだよ!


映画「幕が上がる」 劇中劇 銀河鉄道の夜 - YouTube

・序盤のナレーション多用は夏菜子の演技が拙いこと、感情を表に出せないさおりへのフォローで後半に行くにつれて彼女が部長としての自覚を持ち、自分自身の声で語り始めることの表現なのかもしれないけどそれでも煩すぎる。

・さおりが演出に関して苦労する場面が少なすぎる。演出ノートや台本ってあんなにスムーズに書けるものなのか。

・さおりの漢字間違いネタは明らかに不要。その後の物語もただのバカが夢に感化されて自己陶酔しているようにしか見えなくなる。

・中西が転校した遠因が「本人の滑舌の悪さ」だとする演出でも下品なのに、その後の合宿で天龍の滑舌ネタをギャグとして持って来る辺り無神経としか言えない。

・三宅アナの持っているグッズから、この物語は”ももいろクローバーZ”が存在する世界の出来事である事がわかるけど、そこで劇中曲やBGMにももクロの曲を使われると興ざめ。

・後半の美術室でのさおりによる演説シーンは「国立競技場での夏菜子のラストスピーチを基に演出を加えた。(本広監督談)」そうですが、返って芝居がかった妙なバランスに感じてしまった。

・エンドロールの「走れ!」も原曲よりキーが高く、低音がキツくなったアレンジが作品世界と合っていない。

・「走れ!」を大サビ前で切る理由がわからない。後味が悪すぎる。

2014 映画ベスト20 10位〜1位 そして私は映画を観る

というわけでベスト10です。

10位『劇場版 テレクラキャノンボール2013』

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 「ヤルかヤらないかならヤる人生を選ぶ」イズムが炸裂した、男同士の糞真面目な撮影合戦の馬鹿馬鹿しさは無茶苦茶面白いし劇場で腹抱えて笑った。でもそれ以上に札幌という街が持つカオスさがどうかしているし、「自分の生活圏内でもあの様な営みが行われているのかもしれない。」と思うと何が正常で何が異常なのか分からなくなって少しゾッとさせられる辺りも最高。『BiS キャノンボール2014』が楽しみでしょうがない。

9位『おとぎ話みたい』

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 「女子の成長に男は悲しいほど気付けない」、「自分が掴み取れたかもしれない人生を歩もうとしている他者を応援しなければならない」という2つの切れ味鋭すぎるテーマを、おとぎ話のライブ演奏をバックに60分ノンストップで描き切った山戸監督の恐ろしさ。本作が『5つ数えれば君の夢』の土台となったのも頷けるように共通のイメージがとにかく多いけど、登場人物の絞り方や高密度なセリフの持つ力は本作の方が好み。

 8位『ジャージー・ボーイズ』

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映画と音楽って本当にいいものですね。

7位『her/世界に一つの彼女』

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 単なる男女の恋愛だけじゃなく、他者とのコミュニケーションとは何なのかというところまで描き切った脚本の素晴らしさ。

 「例え対象が"偽物"でもそこで感じた自分の感情は"本物"じゃないか。」という大人な着地も個人的には好みだし、サマンサとの別れの理由も悲しいほど理解できるからこの順位。 

6位『青天の霹靂』

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 自分が長年恨み続けていた相手が実際には自分を一番愛してくれていたことほど悲しいことはない。自らの悲惨な境遇を他人のせいにしてきた主人公が過去と立ち向かい、再生していく姿には涙が止まらなかった。

 初監督作品とは思えないほどの堅実な演出が光っていた序盤に対してエモーショナルに重きを置いたが為に危なっかしいバランスになるクライマックスに乗れるかどうかで評価は真っ二つだと思う。

5位『ウルフ・オブ・ウォールストリート

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 ひたすらアゲる曲しか流さない地獄の180分メガミックス‼︎いかに前のシーンの熱を冷まさずに次のシーンに繋げるかに重点を置いた編集の切れ味は抜群で『グッドフェローズ』『カジノ』並、もしくはそれらを超える興奮を味わえる最高の一本。後半の「ベルちゃん辞めへんで〜!!」の大演説やガルウィング大開脚のワクワクは5億点ですよ。 

4位『ゴーン・ガール』

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 「とりあえずお前らが知りたいだろうことはこの10分弱で全部教えるから、こっからは俺の好きにさせてもらうぜ!」というフィンチャーの顔が浮かぶほどクールな中盤の種明かしシークエンスの不思議な高揚感は一体何なんだ!

 序盤の2人の出合いのパーティーでの会話が"Cool Girl"の伏線になっていたりと練りに練られたギリアン・フリンの脚本も素晴らしいし、作品の雰囲気をグイグイ押し上げるトレント・レズナー&アッティカス・ロスのサントラがとにかく最高!クライマックスのグロテスクシーンで流れる血塗れな響きや、ラスト20分の一見穏やかなハッピーエンドのような暖かいメロディから狂気の重低音に豹変する劇伴は劇場の大音響の中で聴くべし。

3位『DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』

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 「大人の事情(大組閣)」「天気(国立ライブ)」「悪意(傷害事件)」という個人では絶対にコントロールできない外部要因に少女たちはどう苦しめられ、そしてどう乗り越えたのかを出来る限り本人たちの視点で描き切った一本。

 新メンバーが不安な面持ちで上京の為に東北新幹線に乗るシーンが、後半の岩手県で起きた傷害事件後に入山・川栄が帰京するシーンに繋がっていたり、新入生(チーム8)の視点、中堅(非メディア選抜)の視点、トップメンバーの視点、そしてAKBを去る者(大島優子)の視点をそれぞれバランスよく丁寧に描いた先に、クライマックスの総選挙シークエンスで舞台上の順位ピラミッドをズームアウトで捉えた映像を通して、48Gという巨大システムを一発で印象付ける演出は流石高橋監督というべき。AKBドキュメンタリーシリーズの中でも一番好きな作品。

2位『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』

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 『キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー』が一見さんお断りの超ハイコンテクトな作品となったのに対して、徹底的に間口を広くして老若男女、MCUの知識の有無関わらず万人が楽しめる超大衆娯楽作となった作品。中途半端な負け犬映画を「これは"俺たち"の映画だ!」とあまりに下らない仲間意識で消費したり、アメコミ原作作品を「これは原作だと何々で〜」とドヤ顔で語ることしかできない"自称映画オタク"たちの手から映画の楽しみを奪い返してくれたという点でとても大好きな一本です。

 スターロードが母親からもらったカセットだって、本人は曲のバックグラウンドを知らないままで心の底から愛していたし、自分にとっても大好きな曲たちになった。映画を観るのは楽しいね。

1位『LEGO ムービー』

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 「LEGO」をテーマにクリエイティビティ(創造力)のあるべき姿を浮かび上がらせる超傑作。要するに「0から1を生み出す自由な発想ほど不確かなものはないが、だからと言ってマニュアル主義に陥るのではなく、既存の作品に自分のアイデアを付け加えてオリジナリティを生み出すことこそが真のクリエイティビティではないか」ということなんだけど、このテーマを単にセリフで説明するのではなく、一個一個のブロックを組み合わせることで無限に作品が作れるLEGOブロックそのものの哲学や、今までレゴ化されてきたDCコミックスや『指輪物語』『スターウォーズ』といった超有名作品の登場人物をストーリーの中で組み合わせてギャグにしたりすることで体現している点がとにかく素晴らしい。そしてなにより、人気TVシリーズだった『21ジャンプストリート』や、元は子ども向け絵本だった『くもりときどきミートボール」の映画化で成功を収めてきた監督クリストファー・ミラー✖︎フィル・ロードコンビのキャリアこそ本作のテーマと最も合致するポイントでしょう。

 自分自身こうやって自分が観た映画や聴いた音楽の感想をつらつらと書いていく上ですごい励みになったし、この先も自分にとっては大事な作品であり続けるんだろうなと思います。

 

2014 映画ベスト20

1位LEGO ムービー』

2位『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』

3位『DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』

4位『ゴーン・ガール』

5位ウルフ・オブ・ウォールストリート

6位『青天の霹靂』

7位『her/世界に一つの彼女』

8位『ジャージー・ボーイズ』

9位『おとぎ話みたい』

10位『劇場版 テレクラキャノンボール2013』

 

11位『猿の惑星:新世紀』
12位『そこのみにて光輝く
13位『紙の月』
14位『6才のボクが、大人になるまで。』
15位『フューリー』
16位『キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー』
17位『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』
18位『Seventh Code』
19位『プリズナーズ
20位 『RUSH プライドと友情』