最近聴いたもの〜『Hesitation Marks』『AM』

ブログ始めて以来映画や音楽を鑑賞するたびに「あ〜ブログにどうまとめようかな〜」と逡巡した挙げ句に結局まとめきれず頭の中で放ったらかしになっている物が結構有るのでこの機会にまとめます。

『Hesitation Marks』/ Nine Inch Nails

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NINとしての活動を休止している間もトレント・レズナーのソロワークとしてはHTDAや『ソーシャルネットワーク』『ドラゴンタトゥーの女』といったフィンチャー作品のサントラプロデュースなど精力に活動していた為、大して”待たされた”と印象も無かったがやはり5年ぶりのオリジナルアルバムとなると自然と期待は大きくなる。


The Girl with the Dragon Tattoo - Immigrant Song ...

活動再開の第一歩となった今年のフジロックでは今回のアルバムからは序盤の三曲のみしか披露されず今ひとつ新作の全貌が分からず正直やきもきした部分も多かったが、全体のセットリストを見てみれば初期曲、『Downward Spiral』や『Pretty Hate Machine』からの曲が中心だったり、本作のジャケットデザイナーが『Downward Spiral』を手がけたラッセル・ミルズである事から原点回帰の色が濃くなるのかなと思っていた。

しかしふたを開けてみれば、確かに初期の楽曲に通底する思想や世界観は保たれているがサウンドが明らかに今までと比べてミニマムかつシンプルな作りになっているのだ。

トレント自身もインタビューでこう語っている。

「プログラムされたドラムやループ、本物の楽器で作ったループをリプレイしてみたら、どうも腑に落ちなかったというか、どこか…不誠実に聴こえて、まるで俺たちの音楽をやろうとしているカヴァー・バンドのように聴こえてしまったんだよね。だからもっとピュアな物にする、つまりもっとこう、ループやエレクトリックで作られたままの状態に近いものにする必要が有ったんだ。」『rockin'on 』2013年10月号p102 

 おそらくこの考えを体現した曲が1曲目の『Copy of A』と3曲目の『Came Back Haunted』になるだろう。


[01] Nine Inch Nails - Copy of A (Fuji Rock Festival ...

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Nine Inch Nails - "Came Back Haunted" Live at ...

両曲ともベースはシンプルな打ち込みで歌詞もそれぞれ曲名のコーラスが中心といったシンプルなものだが、そこに付け加わるサウンドや歌声が直球ど真ん中のストレートであるため楽曲トータルの印象では非常に骨太且つスマートなものになっている。

この点については賛否が分かれる部分だろうが、全体がこのような骨太ミニマムエレクトロで構成されているのではなく『Everything』のようなポップよりのインダストリアルギターロックも含まれているため、『Downward Spiral』のような悲壮感や痛みで聴いていて苦しくなるというものではない。

5年間のブランクを経てNINを再始動させるにあたってレズナーが取った方法とは、過去からは考えにくい必要最低限のシンプルさに絞り込んだエレクトロによる自らの傷跡(Hesitation Marks)との対峙だったのではないか。いうなれば『牙はまだ生えておる。』ということなのだろう。

『AM』/Arctic Monkeys

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 Arctic Monkeys 2年ぶりの新作。本作発売前のグラストンベリーでのライブがかなり良かった事に加え、世界中の批評家が諸手を挙げて大絶賛という状況だったので即フラゲしてしまった。

最近の邦楽ロックが初期Arctic Monkeysのオマージュもしくは完全なパクリ*2に近い楽曲で溢れている事を考えれば20代にして世界中のミュージシャンに影響を与えてしまったのだから本当の意味でのモンスターバンドなのではないか。


Arctic Monkeys - I Bet You Look Good on the ...


Arctic Monkeys - Brianstorm (live in Glastonbury ...


WHITE ASH / Paranoia【Music Video Short Ver】 - YouTube


The Mirraz 「スーパーフレア」 - YouTube

以上のような初期の作風は彼らにしてみれば当に過去のものなのか、作品ごとに落ちていくBPMにドローンとした気怠いサウンドが特徴となっていき、本作に至っては初期2作の面影はほとんどない。

一曲目の『Do I Wanna Know?』では思わず口ずさんでしまうようなパンチのあるリフ自体は健在だが初期のように高速で最後まで突っ走るのではなく重戦車のようにグイグイと押し込みながら近作の特徴であるメロディの強化が相まって聴いていてとても気持ちがいい。


Arctic Monkeys - Do I Wanna Know? (Official Video ...

デビューからの7年間でそれぞれテイストの異なるアルバムをコンスタントに5枚出して未だ27〜28なのだから本当にスゴい。*3早く来日しないかな〜。

*1:バンドメンバーが横並びで演奏してる姿やOPが「あぁサカナクションっぽいな。」と思ったら、MUSICA最新号でモッチがクロスレビューを書いていた。ちなみにNINはちゃんと聴いた事が無かったらしい。

*2:パンチの強いリフをひたすら早いBPMに乗せて早口で”個性的”な事を歌う手法

*3:クリープハイプやRADと同年代