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ゼログラ抜きの今年ベストテン

同率10位『 風立ちぬ』/『かぐや姫の物語』

 


『風立ちぬ』予告編特別フィルム 4分13秒 - YouTube


かぐや姫の物語 予告 - YouTube

 ずるい気もするがジブリ2作品を同率10位にしてみた。『借りぐらしのアリエッティ』『コクリコ坂から』の駄作っぷりに自分の中ではどん底だったジブリ評価を2人の巨匠が綺麗に倍返ししてくれた2本。

 『風立ちぬ』は現状での宮崎駿引退作ということも含め「自らの理想を突き詰める」ことの尊さ、そしてそこに付きまとう矛盾を堀越二郎零戦をモチーフとして描いた潔さに感服。

 『かぐや姫の物語』で特に印象に残っているのがクライマックスの飛翔シーン。水墨画風に描かれた背景と登場人物がナウシカばりの飛翔で文字通り野山を駆け巡るあのシーンは突き抜けた表現による生の尊さがビンビンに感じられた。あと伊集院と田畑智子のキャラが良かった。

 

9位 『悪の法則』

 


映画『悪の法則』予告編 - YouTube

 

 コーマック・マッカーシー✖︎リドリー・スコットということで公開前から期待値が高かった本作。アメリカ本国での低評価が気になったものの、それらが杞憂に終わるほど素晴らしいバイオレンス群像劇だった。低評価の理由に「観念的なセリフの多さ」や「説明不足な脚本」が考えられるが、同じマッカーシー原作でアカデミー作品賞の『ノーカントリー』の方がよっぽど観念的だしクライマックスのちゃぶ台返しっぷりと比べたら、前半の登場人物による抽象的な会話が後半具現化される本作の方が映画的かつスマートなストーリーテリングと言える。

 その具現化の仕方もリドリー・スコットのビジュアルセンスが光りまくりなバイク✖︎ワイヤーシークエンスだったりクライマックスのロンドンシークエンスの煽り方など巨匠の未だ衰えを知らぬ手腕に圧倒される秀作。

 

8位 『クロニクル』

 


映画「クロニクル」予告編 - YouTube

 

 空を飛ぶ事。物を浮かす事。超能力が使える事の気持ち良さを能天気な青春ドラマと共に描き出した前半から一転、アンドリューの暴走が始まってからの大都会破壊クライマックスまで息をもつかせぬ90分弱。POV方式(主観映像)という制限の中でストーリー上の人間関係や伏線を必要且つ最小限に語りきることで観客をアンドリューの心情に寄り添わせるジョシュ・トランクの手腕、そしてそれを演じきったデイン・デハーンの演技力の確かさ。全く無駄の無い1本。

 

7位 『Documentary of AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女達は涙の後に何を見る?』

 


予告編/DOCUMENTARY OF AKB48 NO FLOWER ...

 

 作品単体の評価というよりもこのドキュメンタリーの前後に各メンバーに起こった出来事を脳内で補完しながら観た上での評価。去年の第2作が「震災とアイドル」がメインテーマの一種表に開かれた内容だったのに対して、今回は「恋愛禁止条例」「センターとは何か?」といったAKBの完全内輪ネタをドキュメンタリー&インタビュー映像で真面目に突き詰めた本作は一般向けに閉じられた印象があるのは否めない。それでも自分が本作を評価したいのは一連の「指原HKT左遷」&「平嶋解雇」シークエンスで描かれるHKTメンバーと指原の初対面での気まずい空気やその後SKE中西の前で号泣する指原*1、大勢のファンの前で泣きながら謝罪する平嶋といったあまりにむごい姿をありのまま観客に提示する誠実さ。特にその後の指原が文字通り天下を取る事や平嶋の復活を脳内で補完したらグッとくることこの上ない。本作単体で観たら完全に残酷非道ドキュメンタリーだが前述のように一度は大きな失敗をしてしまったメンバーが現在元気に最前線で活躍している姿を観ればその印象は180度変わるだろう。*2

 

6位 『地獄でなぜ悪い


映画『地獄でなぜ悪い』予告編 - YouTube

 

2013年個人的流行語大賞「コカイン効いたぁぁぁぁっぁぁぁx」

 

5位 『そして父になる』

 


映画『そして父になる』予告編 - YouTube

 

 終始慶太に同情した2時間だった。オープニングの面接での振る舞いや小学校合格祝いのケーキを差し出しながら両親が「慶太合格おめでとう〜」と顔を覗き込むシーンの余りの惨さに絶望した。最初から最後まで慶太は自分の意思をはっきりとした形で父親、つまり観客に見せない。そのため常にそのときそのときの慶太の心情を観客に考えさせる作りなっている。その中で2時間鑑賞したときに気づくのは慶太が常に両親、特に父の顔色を伺い、どうしたら自分を好んでくれるか苦心していたということ。ラストの父親の謝罪でも慶太は一見父親を許しているようにみえるが、本心では憎く思っていながらも父親の元に歩み寄り自らを押し殺すことで自分と父親の間にある少なくない”何か”を守ろうとした慶太の姿に胸を打たれた。

 

4位 『ジャンゴ 繋がれざるもの』
映画『ジャンゴ 繋がれざる者』日本版予告編 - YouTube

 

 タランティーノ作品最大の特徴且つ最も好みの分かれるポイントである「余りに長い駄話」がストーリー上の伏線として見事に機能した事でMAXに高まる後半30分の興奮&感動。本作ではやはり「奴隷制度暗黒史」というテーマの印象が強くなってしまうが、それ以上にジャンゴとシュルツの師弟関係を通して「人が知恵を学び、そしてそれを次の者に伝える」とはどういう事なのかをとてもエモーショナルに描いた作品であり、タランティーノ作品の中では最も一般に開かれた作品だと思う。

 

3位 『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命


映画『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』予告編 - YouTube

 

 『ブルーバレンタイン』の衝撃から2年。またしてもとんでもない一本を作り上げたデレクシアン・フランス。周りの評価だと「第1幕しか面白くない」という声が多いが1幕2幕で積み重なった原罪が1つに収斂する第3幕の豊かさたるや。特に森の中でのデイン・デハーンブラッドリー・クーパーのシークエンスは見事。長尺で中盤ダレ気味な部分は確かにあるがそれらを補って余り有る程の後半のデイン・デハーン力恐るべし。

 

2位 『ホワイトハウスダウン』


映画『ホワイトハウス・ダウン』最新版予告編 - YouTube

 

 期待値と実際の感想のギャップで言えば文句無しの今年ベスト。前日の記事でも書いたけど「娯楽大作とは何か?」を本気で突き詰めたら2時間強ノンストップアクションの大傑作が出来上がってしまった。パシリムが貸し出し中ならこっちも観たら良いと思うよ!

 

1位 『ばしゃ馬さんとビッグマウス』


【映画】ばしゃ馬さんとビッグマウス【予告】 - YouTube

 今年一番笑って泣いた作品。「ジャニーズ主演のラブコメディ」というパッケージの中で『SRシリーズ』ばりの「夢をみる事の痛さ」「理想と現実の余りの厳しさ」を徹底的かつ誠実に描いた一本。特に後半のコンクールの結果、そして受賞スピーチの内容は余りにも残酷かつそして当たり前のことを正面から観客に叩き付ける個人的2013年ベストシーン。一歩間違えたら余りに暗い作品になってしまうところを関ジャニ安田の底抜けの明るさで下支えすることでバランスを取る点など吉田恵介監督の作風とメッセージが見事に合致した大大傑作。必見。

*1:そしてそれらの事件に対して冷静にコメントする菊池

*2:それでこその剛力ダンスの素晴らしさだと思う。