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REMEMBER MY NAME 『ブレイキング・バッド』

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Breaking Bad Trailer (First Season) - YouTube

10月3日にファイナルシーズンのセル&レンタルが開始された『ブレイキング・バッド』だが、自分はhuluでいち早く全シーズンを観賞できたのでこのタイミングでブログ更新。

あらすじは田舎のぱっとしない科学教師ウォルターが麻薬ビジネスに関わることで、地元のギャング、そいつらの元締め、麻薬王と対決せざるを得なくなる倍々ゲームが6シーズン全62話の中で繰り広げられると言った内容。

シーズン1、2序盤はウォルターと彼の元教え子のジェシーで繰り広げられるスラップスティックコメディの要素が強い。また、彼らがビジネス拡大していく中で立ちはだかる”麻薬界の帝王”が登場する辺りから作品内の空気が変わり、キャラクター同士の騙し合いや殺戮の色が濃くなってくるが、シーズン1のちょっとした人物が後半のストーリーでとんでもない鍵を握っていたりするため中々油断できない。

作品内の演出も歴代のマフィア・ギャング映画へのオマージュに溢れており、それらの元ネタを英語版wikiでチェックするだけでも十分面白い。だが、本作がスゴいのはそれらのオマージュを単なる映画ファン向けのサービスに留まらせず、主人公ウォルターが抱える「中年の危機」「男としてのプライド」「才能と矛盾」といった苦悩をこれでもかと表現する上で最高の演出となっていることだ。麻薬ビジネスには一切関わったことの無いウォルターが闇の世界に手を染めていくことで彼の本性そして真の野望が露になっていく姿は『ゴッドファーザー』シリーズのアルパチーノを彷彿とさせるし、後半ではその名もずばり『スカーフェイス』を親子で観るシーンが登場する。

もしかしたら自分が歩めていたかもしれない栄光の人生を悔やみながら、片田舎の科学教師と洗車場のバイトで日銭を稼ぐしかなかったウォルターに、”麻薬精製”という彼の能力を最も活かせる場が与えられてしまったがために起こる悲喜劇、そして最終話で彼が迎える運命、全てが現在アメリカエンタメ界最前線のクリエイター達*1の卓越した脚本・演出によって描かれた本作。ネタバレ無しで語るのは無理なので、少しでも興味が有るなら一見の価値有り。

 

*1:全シーズン中最高評価の『Ozymandias』を手がけたライアン・ジョンソンは『スター・ウォーズ』シリーズ新作スピンオフ監督に内定