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もうすぐ夏が来る。Base Ball Bear『日比谷ノンフィクションⅣ』@日比谷野外音楽堂

 「二十九歳になった今、自分にとっての『普通』とはなにか?」というテーマを徹底的に突き詰めたBase Ball Bear 5th AL 『二十九歳』から一年。2本の全国ツアー『二十九歳』『二十九歳+一』、企画ライブ『LIVE IN LIVE』を経て、バンドとして2年ぶり4度目となる日比谷野外音楽堂での『日比谷ノンフィクションⅣ』を観た。

 アルバムのコンセプトを忠実に再現するセットリストだった『二十九歳』『二十九歳+一』を両方観た自分にとって、今回のライブは"『二十九歳』以降のBase Ball Bear"を観られる絶好の機会だと思い、期待度マックスで会場に足を運んだ。

 開演前の客席ではアルバムツアーと同じく、メンバーが思春期に多大な影響を受けたであろうゼロ年代ロキノンの名曲プレイリストが流されており、*1くるりの『ワンダーフォーゲル』が流れ終わって、定刻を迎えるとお馴染みXTCのSEでメンバーが登場。野音の期待が最高潮に達する中、バンドが奏でた意外すぎるギターリフに客席全体が騒然となる。

小出「こんばんはBase Ball Bearです!日比谷ノンフィクションへお越しくださいましてありがとうございます!早速ですがゲスト!RHYMESTER!」


RHYMESTER x Base Ball Bear / The Cut - YouTube

 舞台裏から慌ただしくDJブースが運び込まれる中、ステージ下手からRHYMESTERが登場し、宇多丸の「日比谷ノンフィクション!この面子が集まればノークエスチョン!」のシャウトで『The Cut-feat. RHYMESTER』スタート!鋭いギターカッティングとトラックのグルーブで3000人の観客を一発で縦ノリにさせる完璧なコラボレーションを見せつけ、曲のラストには『日比谷ノンフィクションⅣ』のバックドロップが落とされたことで、客席のテンションは1曲目から最高潮に。そこから息つく間もなくノンストップで『CRAZY FOR YOUの季節』になだれ込み、野音の熱を更に高めていく。

 軽いMCを挟んでからは新旧織り交ぜた楽曲が続く。リフ先行のアレンジが夕方の野外に似合う『Transfer Girl』や、ツアーを経て演奏がよりタイトになった『yellow』『そんなに好きじゃなかった』そして『愛はおしゃれじゃない』セルフカバーの切なさ!


岡村靖幸 w 小出祐介「愛はおしゃれじゃない」 - YouTube

 打ち込み、シンセてんこ盛りの原曲に対してリフ一本で押しとおすギターロックスタイルにアレンジされたことや、岡村ちゃんの強烈な個性がないことでより憂いを帯びたこいちゃんのボーカルが更に際立ったことで、曲全体から醸し出される切なさや「モテなさ」がガンガン感じられて本当に素晴らしかった。

 次のMCでは「自分にとって野音とは?」という話題になり、こいちゃんは「日本のロック史において野音はフジファやナンバガの印象が強いかもしれないけど、僕にとって野音は"さんぴんCAMP"なんです。」と語り出す。

 中学生のころVHSで観た"さんぴんCAMP"の思い出をしみじみと語り、RHYMESTERへの思い入れ、そしてこの日の共演の意義を、文脈を知らないベボベファンにも伝わるよう訴えかけるこいちゃんの姿が印象的だった。


Rhymester - 耳ヲ貸スベキ (さんぴんCAMP) - YouTube

 RHYMESTER主催フェス『人間交差点』への出演オファーは受けていたものの、スケジュールの都合上涙を飲んだというエピソードも披露し、「というわけで『人間交差点』のテーマと通じる曲を演ります。」の言葉から『スクランブル』へ

 アルバムツアーではシリアスな楽曲が続くパートの導入としてセットリストに組み込まれていたが、この日のライブでも久しぶりの演奏となった『ホワイトワイライト』『ラブ&ポップ』の切なさを際立たせる良い位置だった。

 日も沈み、照明演出が映えるようになった頃、「この曲も同期モノを使えばそつなく演奏できるのかもしれないけど、それでも僕らは生音でやりたい。」というこいちゃんの言葉から『Tabibito In The Dark』が披露され、エレキギターから生み出されるダンスミュージックに再び野音は興奮の渦に。

 『changes』『ELECTRIC SUMMER』といった鉄板曲の連打で畳み掛けたクライマックス、『UNDER THE STAR LIGHT』アウトロのノイズの果てに奏でられたのは『魔王』のギターリフ。アルバムツアーでは『光蘚』とセットで一種の組曲として披露されてきたがこの日のライブでは『魔王』単体での披露となった。何度聴いてもその度に鳥肌が立つアウトロの湯浅ギターの音色が日比谷の夜空に響き渡り、これでおしまいかと思ったらそのまま『PERFECT BLUE』に突入!ラストの歌詞「もうすぐ夏が来る」が何倍にも胸に染み渡りながら本編終了。

 アンコールでは「時代がストリーミングなら、こっちはエクストリームシングル出します!」と新作の発表もあり、ラストは『BREEEEZE GIRL』の大合唱で幕を閉じた。 

 アルバムツアーが『二十九歳』のテーマをライブで再現する内容だったのに対して、今回の『日比谷ノンフィクションⅣ』は『魔王』の置き方然り『二十九歳』というアルバム自体を相対化しようとする内容だったと思う。ベボベにとってもファンにとっても『二十九歳』を"普通”として捉えられるようになったということか。

 『二十九歳』を通り過ぎた『三十一歳』のベボベが何を思い、何を歌うのか今後も追い続けたい。

www.youtube.com

Base Ball Bear『日比谷ノンフィクションⅣ』@日比谷野外音楽堂

1. The Cut-feat. RHYMESTER

2. CRAZY FOR YOU の季節

(MC)

3. Transfer Girl

4. yellow

5. そんなに好きじゃなかった

6. 愛はおしゃれじゃない

(MC)

7.スクランブル

8. ホワイトワイライト

9. ラブ&ポップ

(MC)

10. Tabibito In The Dark

11. 十字架 You and I

12. changes

13. ELECTRIC SUMMER

14. UNDER THE STAR LIGHT

15. 魔王

16. PERFECT BLUE

(en)

17. 「それって、for 誰?」part1

18. BREEEEZE GIRL